加川文一

丘より見ゆる海は青し 夏の畑につくりし 胡瓜のごとき色を にがく走らせたり 海はひねもす わが乾ける瞳を刺し われは此処に住みて はや四年となりし わが生活はまづしけれど まづしさも己のものぞと 一筋にがき海に向かひて 語りきたれる 妻よ 今日も海は光れリ 人の住む陸を抱きて するどく海は光れり